花をはじめとする植物は生け花や盆栽、作庭など、日本の生活や文化の基層に深い関わりを持ってきました。四季折々の植物を愛で慈しむ気持ちは、私たちの美意識そのものを形作ってきたと言っても過言ではありません。「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」と詠む在原業平の歌は、逆説的に私たちがいかに花を愛しているかの証でもありましょう。 小さな針穴は特別な眼で世界を見つめます。それは時に風変わりで非現実的ですらあります。その針穴が美しく儚い植物を見つめたらどうなるでしょうか。大場典子、遠藤志岐子、中村一夫の三人による、針穴から流し込まれた植物の世界、どうぞお楽しみください。