たとえば、ひらがなフォント、特に明朝系は空白部分が多いこともあって、字間を詰めた方が美しかったりします。グラフィック的にはツメ打ち(文字列の字間を詰めること)はアリですよね。僕も好きです。ただ、見出しやタイトルならともかく、本文は違う。1行なら調整は可能ですが、本文全部を調整するのは不可能だし、機械的に詰めたりしたのでは読めなくなってしまいます。 1文字と1行、段落、1ページ、見開きでは、文字の在り方が違っているんだということに、僕は小説家になって気がつきました。 デビュー作『姑獲鳥の夏』はワープロで書きました。出版予定はなかったので原稿用紙にあわせた20字×40行で作成しています。新書判で刊行されましたが、字数、行数は変わっていたし、しかも2段組み。違う器に機械的に流し込まれてしまっていたわけです。 これが、原稿とは印象が全然違うんです。検証のため、夏目漱石など複数の出版社から刊行されて
![京極夏彦氏はここまで「読みやすさ」を追求していた 版面の細かい制御のため、InDesignで小説を執筆 | JBpress (ジェイビープレス)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/28fa26cce8e7ebd85c50b88c65bd0f0606a51389/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fjbpress.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fe%2Fb%2F1200mw%2Fimg_eb68c41232341a16cd04651991b26a25111914.jpg)