8月半ば、漫画家・中沢啓治氏(故人)の代表作『はだしのゲン』が、昨年末から松江市立小中学校の図書館で「閉架」(オープンな書棚に並べず、自由に閲覧できない)の状態にあることが一斉に報じられた。市の教育委員会が閲覧制限を求めたのに応えた措置とのことだ。 学校附設のものながら、公共の図書館が外圧によって蔵書の扱いを変えた。こうした「事件」が起こるたびに、「図書館」というものの機能と役割について考えさせられる。 図書館はあらゆる外圧からの独立を守られるべきである。これが、記者の立場だ。今回の事件を、日本社会の右傾化を象徴する出来事として捉える向きが多い。だが、今回の圧力が、たまたま、どちらかと言えば政治的に「右」に位置する立場からのものだっただけだ。公共図書館は、政治的な立場の左右にかかわらず、常にこうした外圧にさらされて来た。 例えば、2001年、政治的にはまるで「逆」の事件が起こっている。千葉
![「はだしのゲン」を巡る「図書館戦争」に思う:日経ビジネスオンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05f492a9ba706b05ca8fd61b1840b099fb59fdc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fimages%2Fn%2Fnbo%2F2011%2Fcommon%2Fnbologo_ogimage.png)