機械学習の数理24日目の記事です。本稿ではgraph convolutional network(GCN, グラフ畳み込みネットワーク)の基本的な理論について解説を試みたいと思います。GCNの応用だとか、変種だとか、については特に述べません。 グラフ畳み込みを知らない方、あるいはグラフ畳み込みの数式は理解しているけどもイマイチ理解できていない方を想定しています。ただし線形代数とFourier(フーリエ)変換(実質、無限次元線形代数)の基本は知っているものとします。実際、数式だけ理解するなら、この2つさえ知っていれば十分なのですが、理論的背景(特に信号処理)についてきちんと踏み込んでいるものは、ほとんど無さそうだったので、今一度振り返るべく文章化してみました。 ちなみにグラフ畳み込みにおいて重要な役割を果たすグラフLaplace作用素は、物理学において、tight-binding模型のHam