そこは小さな病院だった。寂れた街角の、誰も来ることのないような小さな病院。 “倉井産婦人科”と看板がかかったそこで、何人かの人間が赤子の産声とともに歓喜と祝福の言葉を上げた。 「産まれた」 「我らの神の子」 「私達に安息をもたらしてくれる神の子が」 おめでとうございます、と口々に祝いの言葉を述べられた神の子を産んだ女は、看護師である姉に抱かれている我が子を見て、安堵の笑みを浮かべた。 「よかった・・・ちゃんと産めた」 産まれた子供を見て、彼女は手を伸ばす。生まれたばかりでベタついた肌に触れて、元気な産声を聞いて、彼女は姉に言った。 「あとはお姉ちゃん・・・私の言ったとおりにして」 「大丈夫、任せて」 姉は力強く、妹の手を取って頷いた。 「キラ様のご意志に従って、私がちゃんと育てるわ。そして、必ずまたキラ様がこの世に来る日を・・・楽しみにしてるから」 「ありがとう・・・」 姉が大事そうに子供