国際原子力機関(IAEA)の会合に向け、日本政府がまとめた福島第1原発事故の報告書が公表された。事故の経緯を述べた上で28項目の「教訓」が列挙されている。 その多くが、専門家やメディアが指摘してきたものの、政府が公式に認めていなかった内容だ。 たとえば、今回のように炉心溶融に至るシビアアクシデント(過酷事故)を想定した対策は、電力会社の自主的取り組みに任されてきた。事故対策の指針は20年近く見直されず、訓練も不十分だった。 事故の確率的なリスク評価も多数実施していたのに活用してこなかった。事故後の放射線モニタリングも、情報提供も不十分だった。放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI」も有効に使われなかった。 政府自身がこうした問題を自ら認め、対策強化をうたった点では、報告書は検証に向けた一歩とみていいだろう。ただ、分析が不十分な点もある。 たとえば、初動が遅れた原因は何か。そこからどうい