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書評に関するso37のブックマーク (7)

  • 至福の読書体験 『幻の楽器ヴィオラ・アルタ物語』 - HONZ

    突然、「このめちゃくちゃ面白かったです。ジャケ買いして一気読みしました」というメールがHONZ宛てに届いた。送付元は、以前にもメールのやりとりをしたことのある、大変な読書家でHONZを応援して下さっている心臓血管外科医の望月先生である。確かにソソるカバー。面白いならではの「匂い」が、表紙からすでに漂っている。しかも望月先生のご推薦とあらば、読まねばなるまい。というわけで手に取ったのが書である。 ヴィオラ奏者であった著者は、2003年のある日、渋谷の弦楽器店を訪れた。先客の小学校低学年の男の子が、古いショーケースを覗きこみ、一緒に来ていた母親に向かってこう言った。 「お母さん、こんなに小さなチェロがあるよ」 実は20年前、高校生だった著者は、上京し、初めて訪れた同店で、緊張に身を固くしながら同じショーケースを覗き込んでいた。しかし、この「小さなチェロ」の存在には気付かなかった。 ショー

    至福の読書体験 『幻の楽器ヴィオラ・アルタ物語』 - HONZ
  • 記録より 記憶に残る コレ弊害? 『セイバーメトリクス・リポート1』 - HONZ

    セイバーメトリクス(Sabermetrics) 野球についての客観的・統計的な研究。ビル・ジェイムズという一人の野球ファンによって提唱され、アメリカ野球学会の略称であるSABRと測定を意味するmetricsからその名がつけられている。当初は好事家の間の趣味として広まったが現在ではMLBの多くの球団が専門家を雇い入れ、チームの運営に活用している。 全米ベストセラーの書籍に続き、昨年ブラッド・ピット主演で映画化までされた『マネー・ボール』。貧乏球団アスレチックスが統計学的手法「セイバーメトリクス」を駆使し、プレーオフ常連の強豪チームにまで躍進したサクセス・ストーリーは、今や世間が知るところとなった。 ところ変わって日プロ野球。書はセイバーメトリクスを日プロ野球に適用し、純粋に収集したデータを元に統計学と客観分析の見地から滔々と論じている。体2,200円(+税)の良心価格ながら、充実した

    記録より 記憶に残る コレ弊害? 『セイバーメトリクス・リポート1』 - HONZ
  • 『孤独なバッタが群れるとき』 新刊超速レビュー - HONZ

    虫系のを読むと、それまでに自分が抱いていたイメージが音を立てて崩れていくことも多いのだが、書はその中でも群を抜いている。 サバクトビバッタ。その名の通り、サハラ砂漠などの砂漠や半砂漠地帯に生息しているバッタで、西アフリカから中東、東南アジアにかけて広く分布している。見た目は馴染みのあるトノサマバッタに似ているのだが色は黒く、しばしば大発生して次々と農作物に破壊的な被害を及ぼす恐ろしい害虫なのだ。 そもそもバッタとは、ラテン語の「焼野原」を意味する言葉に語源を持つそうだ。バッタの卵は「時限爆弾」、農薬は「ケミカルウェポン」と呼ばれるくらい物騒な世界なのである。 人類とは長い付き合いがあり、聖書にも記述が残されているこの「黒い悪魔」。その最大の謎は、大発生の時に遅いかかってくる黒いバッタが、普段どこにいるのかということである。平和な時には忽然と姿を消しており、いっこうに見つからないのだ。

    『孤独なバッタが群れるとき』 新刊超速レビュー - HONZ
  • 2012年 HONZ 今年の1冊 - HONZ

    各レビュアーが選ぶ今年の一冊。やっと出揃いました。 今年も見事なまでにバラバラです。 なるほど、頷くものも多々ある一方、栗下直也とか意味分かんないですし(怒)、最後に登場する成毛眞など、相変わらずあまりに自由すぎて呆然とするほかないです。 でもそれもHONZならではの多様性、ということでお許しを。レビュアーが増えたぶん、ちょっと長いですが、ぜひとも最後までお読みください。あなたが読むべき1冊は、このなかから見つかります! たぶん……。 東えりか 今年「もっとも私が非情になった」1冊 村井理子という翻訳家を知ったのは、もうずいぶん前のことになる。時のアメリカ大統領はジョージ・ブッシュだった。この人は妄言失言甚だしく、村井さんはそれをいちいち取り上げてブログに乗せていた。後年それは『ブッシュ妄言録』として出版される。ネット上で友人となり、その後もユニークなを翻訳し続ける村井さんが、奇妙奇天烈

    2012年 HONZ 今年の1冊 - HONZ
  • 『稀で特異な精神症候群ないし状態像』 - HONZ

    6月のHONZ定例会で濱崎さんから紹介されたである。版元の星和出版はおもに精神医学の専門書を取り扱う出版社だ。書の医学書であり、けっして娯楽のために書かれたではない。それゆえに興味位で読むべきではない。患者と医療従事者にたいするリスペクトを持って読むべきである。 書はタイトルどおり「稀で特異な精神症候群ないし状態像」を取り扱った33人の医師による論文集である。22の症例が取り上げられている。「憑依状態」「多重人格」「空想虚言」などは、小説映画などでも取り扱われており、想像することが可能な症例だ。 しかし、「重複記憶錯誤」となると想像が難しくなる。その症候は「実際には単一の場所(建造物)や人物が複数存在する」と患者が主張する症候だというのだ。この論文には3件の自験例が示されている。自殺を企画してマンションから転落し、K病院に入院していた男が「自分はもう一つのK病院に入院してい

    『稀で特異な精神症候群ないし状態像』 - HONZ
  • 『弱くても勝てます』 超進学校の「異常な」セオリー - HONZ

    住大夫の自伝である。おなじみ日経済新聞「私の履歴書」の書籍化だ。ちなみに近年「私の履歴書」で最も面白かったのは李香蘭すなわち山口淑子だった。書は次点だが、経営者の自叙伝の何十倍も面白い。何万倍かもしれない。つまり経営者の自叙伝などはことごとく面白くない。そういえば佐野眞の『甘粕正彦 乱心の曠野』などは李香蘭の自伝を読んでからのほうがはるかに面白いはずだ。話が脱線した。 竹住大夫は義太夫節の大夫である。三味線弾きと二人で人形劇である文楽に登場し、物語の一切を語るのが大夫だ。住大夫はその最高峰なのだ。もちろん人間国宝だ。義太夫節とは大阪弁丸出しのダミ声でわめくような感じの日独特の歌唱法である。あまりに独特なので初めての人は面らう。ともかく何を言っているのかさっぱりわからない。しかし、慣れてくると、これがじつに素晴らしいのだ。 ところで書によれば、竹住大夫は奈良の薬師寺の故高田

    『弱くても勝てます』 超進学校の「異常な」セオリー - HONZ
  • 『ヒトはなぜ神を信じるのか』 逃れられない神の目 - HONZ

    「科学と宗教」という、既に語り尽くされたと思われるテーマに、無神論的心理学者の著者ジェシー・ベリングを向かわせたのは、母の病気である。ベリングが10代のころ、彼の母はがんと診断された。母の病状を聞いたとき、神の存在を微塵も信じていなかった彼の頭に、意外な言葉が浮かんだ。 神はぼくのことをほんとうに嫌っているんだ 反射のように浮かび上がった神を、ベリングは理性の力で即座に振り払った。母の症状が科学的に説明できることを理解していた彼の心にまで、神は間違いなく現れた。この経験以来、彼は信仰と能の関係を研究し続けている。 「無神論的信念」と「神という心の錯覚」を同時に経験した、という思想家は多い。神を嫌悪、拒絶していたジャン=ポール・サルトルでさえ、神の声から完全に逃れることはできなかった。内縁のによるとサルトルは、「自分の生には生まれもった目的がある」という感覚を前にすれば、自らの無神論的確

    『ヒトはなぜ神を信じるのか』 逃れられない神の目 - HONZ
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