写真よりもリアル。諏訪敦絵画作品集。 図書館で一目惚れ、4回借りて取り憑かれた。だから買った。舐めるように見て飽きず、目が広がった。 対象をリアルに写し取るのであれば、それは機械の仕事だ。だが、対象をいかにリアルに近づけるかは、人の仕事だ。諏訪敦は写実を極めるが、実は対象は存在しない。不在の写実って、それだけで矛盾してる。だが、もしそこにあるのなら、そうあるはずだという想像のいちいちを裏付けるように描く。つまり、あるように描く。 ヌードを描くなら、ひじから肩の"しみ"の一つ一つを、乳輪の突起の凹凸を、捩れた陰毛と真っ直ぐなのを一本一本、脱いだばかりの下腹部についた下着跡まで描いてある。貌なら産毛の一本一本、潰れたにきび跡、ファンデーションの微小な輝きの欠片まで見える。死顔の、開き気味になった唇の端がくっつく様子や、薄い皮膚を透かした腱と老斑の乾いている感覚が、さわるようだ。どこまで細かくみ