空海が唐から持ち帰った書物などの一覧「御請来目録」に記された「三教不斉論」(中央)の文字=「弘法大師真蹟集成」(法蔵館)から「三教不斉論」の写本を確認した高野山大学密教文化研究所委託研究員の藤井淳さん=22日、大津市 弘法大師として知られる平安時代の僧、空海が唐から持ち帰りながら、実物が確認できず、幻の論文と考えられてきた「三教不斉論(さんぎょうふせいろん)」。その内容を写し伝えた江戸時代の写本を、高野山大学密教文化研究所委託研究員の藤井淳さん(33)が、東京都立図書館の諸橋文庫で見つけた。空海が持ち帰った論文の写しと考えられ、仏教史を考える上で重要な資料といえる。 「三教不斉論」は、空海が唐から持ち帰った経巻や仏具などの一覧を記した「御請来目録(ごしょうらいもくろく)」に名が見られるが、内容は不明で、写本も存在しないと考えられていた。見つかった写本は縦26センチ、横16センチほどの和