プロが蒸気機関車(以下、SL)を撮影するのは、主に冬。夏場の方が多くSLが走るのに、なぜあえて冬に撮影するのか。SLを間近にして感じた匂いや温度、そして煙やすすをかぶった思い出……。これらを一枚の写真に残すこだわりを、マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズの長根広和さんにうかがった。 SLは煙が命! 気温は低い方がいい 北海道のJR釧網本線を走る「SL冬の湿原号」。真冬に走る数少ないSLの1つだ。撮影時の気温は−10℃以下 「SL撮影の要は、煙です」といきなり断言する長根さん。プロが冬のSL撮影を好むのは、気温が低いほど機関車が煙をたくさん吐くからなのだ。現在、日本のSLは、観光用や史料として動かせる状態を維持している「動態保存」という状態。控えめに燃料を焚いているので、吐く煙は意外に少ないのだ。そのようなSLがたくさんの煙を見せてくれる季節は冬。そして場所は、機関車が最もパワーを出す"駅発車