「その通りです」−。今年7月、自宅で寝ていた妻=当時(75)=の首を絞めて殺したとして殺人罪に問われた男は、年齢を感じさせるかすれ声で罪を認めた。男は昭和9年生まれの79歳。手に掛けたのは、半世紀近くともに生きてきた最愛の妻だった。孤独な「老老介護」を続ける中で、病気に苦しむ妻を思う心が暴走し、取り返しのつかない悲劇を呼び起こした。 ■なぜ、最愛の妻を… 判決などによると、被告が凶行に及んだのは今年7月8日ごろ。早朝に東京都世田谷区の自宅マンションで妻の首を最初は両手で、続いてタオルで締めて殺害。翌日未明には、隅田川に飛び込んで自殺を図ったが死にきれず、数時間後に川に浮かんでいるところを救助された。被告は、搬送先の病院で妻の殺害を打ち明け、自首した。 11月25日に東京地裁で行われた裁判員裁判の初公判。検察側は冒頭陳述で「短絡的な犯行」であることを強調した。 被告の妻は、くも膜下出