「水商売のホステスさんが仕事休んだからといって、普段のホステスさんがもらっている給料を、我々の税金で、俺はごめん、払いたくはないわ」松本人志『ワイドナショー』(フジテレビ)4月5日 書評家の豊崎由美は戦慄した。松本人志のこの発言を生んだ背景は、あの名作にそっくりじゃないか、今の状況にそっくりじゃないかと。今読むべき「脂肪の塊」をワイドにレビュー。 知らなくても恥ずかしくない フランスの作家モーパッサン(1850〜93年)に「脂肪の塊」という有名な短篇作品があります。有名と言ったって、知らなくても恥ずかしがらなくて大丈夫です。なんたって、1880年に発表された古い小説ですから。 舞台となるのは、普仏戦争でプロイセンに敗北した1871年のフランスです。プロイセン軍が戦勝国としてルーアンの町を占拠。そんななか、知り合いのドイツ人士官のつてを辿り、町から出る許可を取りつけた人々が4頭立ての大きな乗