元横綱・日馬富士(はるまふじ)による暴行事件は、いつの間にかナショナリズムの問題へと転化している。暴行現場で同席していた白鵬が、九州場所の優勝インタビューで館内を巻きこんで万歳三唱をすると、「品格」や「国技」という言葉が飛び交い、モンゴル人力士へのバッシングが加速した。矛先は日馬富士よりも白鵬に向けられる。 『週刊文春』12月14日号には「『貴ノ岩暴行』本当に悪いのは誰だ?」という記事が掲載され、「緊急アンケート」の結果が公表されているが、第二位の日馬富士を抑えて、白鵬が第一位となっている。寄せられた回答として「相撲と日本人を舐(な)めきっている」「モンゴル力士で一番の癌(がん)」といった声が紹介されている。 星野智幸は、「滅亡寸前の大相撲を救ったのは、『スー女』である。」(スポーツニュースサイトVICTORY12月6日)の中で警告を発する。星野が注目するのは「品格」という言葉の、あいまい