最後の頁を読んだとき、頭に入ってこなかった。 何が起こったのか、一読して分からなかった(分かりたくなかった)。 ありえない、嘘であってほしいと願い、読み直す。目に力を入れて、一字一句を読み直すことで、この悲劇を免れる別の解釈が得られるかもしれないと願う。 しかし、いくら読んでも変わらない。どんなに読んでもラストは変わらないことに気づいた時、ざっくりと胸が抉られていた。 この痛みは一生もの。 悲劇は沢山読んできたが、これは苦しい。人並み以上に耐性はあり、たいていの物語は飲み込めるが、これはダメだ、辛い、辛すぎる。毒が血液にのって隅々にまで行き渡るように、苦しみが全身を這いまわる。この作品から被った痛みは、最高レベルになる。 これは、イギリスのムスリムの家族の物語だ。 「ムスリム」とはイスラム教徒のこと。イギリスでムスリムとして生きる人々は、およそ300万人、総人口の5%になる。豚食やアルコー
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