憲法は、本来は国民を統合するものだ。しかしながらとりわけ9条を巡る議論によって国民は分断されてきた。 改憲派はあらゆる理由を使って憲法を変えようとする。護憲派も憲法を変えないためにあらゆる理由を動員する。 この対立が長年続いたことが、憲法を巡る議論から一般の人を遠ざけてきた。憲法集会で拳をつき上げても、その拳は絶対に交わらない。どちらに手を挙げようか考えている人たちの居場所がない。改憲議論のプレーヤーは非常に狭い、限られたものになってしまっている。 いわゆる「改憲」「護憲」という従来の二項対立以外の新しい軸を設定することで、この閉塞(へいそく)感を打ち破り、新しい人たちに議論に参加してもらう必要がある。私が「立憲的改憲」を主張しているのはそのためだ。