全国50基の原発を2012年度中に廃炉にすると決めた場合、電力会社10社で計約4兆4千億円の損失が生じるとの試算を経済産業省がまとめたことが18日、分かった。東京電力など4社は資産で借金を返せず、経営が行き詰まる「債務超過」に転落する。 政府が「脱原発」を目指す場合、実際には一定の時間をかけて実施するとみられるが、電力会社に及ぼす影響の大きさが浮き彫りになった。 試算は、菅直人前首相ら民主党議員の要請で策定した。損失は原発の設備、核燃料の資産価値がなくなるため生じる約3兆2千億円と、廃炉に備えた引当金不足約1兆2千億円の合計。 各社別では、廃炉になった福島第1原発1~4号機を除いても13基ある東電が最大の1兆1495億円。11基を持つ関西電力(6318億円)、東北電力(4970億円)が続く。