1.はじめに 今後、日常生活の色々な場面で、目立たないように配置されたコンピュータが、様々な情報提供を行ういわゆる「ユビキタスネット社会」あるいは「ユビキタス情報社会」という環境が作られてくるであろう。総務省が中心となって進めているu-Japan戦略では、以下のような表現でこうした環境の実現に向けた取り組みを記述している1)。 ネットワークが身の回りのどこにでもあり、意識することなくICTを利用すること 様々なモノを繋ぎ、「ヒトとモノ」、「モノとモノ」のコミュニケーションを実現すること こうした環境を実現するための技術は多岐にわたるが、特に「意識することなくICTを利用すること」という部分に対応するのが、「コンテキストアウェアネス技術」と呼ばれる技術分野である。 この技術では、家庭や職場、街等の生活空間に配置された多数のセンサから情報を得て、利用者の行動の詳細や時々刻々変化する環