「戦争と人間」は旧満州(中国東北部)長春郊外の集落を匪賊(ひぞく)が襲撃する場面から始まる。撮影されたのは北海道の中標津町俣落にある牧場。1970年2月のことだった。 当時は日中国交正常化の前、現地でロケすることは不可能であり、満州を思わせる荒涼とした冬の光景を北海道に求めた。広大な牧草地に、土塀に囲まれた満州の民家十数棟を再現したセットが組まれた。「坂になっていて、向こうから馬が来るとよくわかる。大ロングがひける(撮影できる)」と撮影担当の名カメラマン、故姫田真佐久(しんさく)が回想録に書き残すほど、大陸のイメージにぴったりだった。この地区一帯は戦後、北方領土や満州からの引き揚げ者が多数入植した地でもあった。 「あの年は雪が多くて、撮影現場まで除雪するのが大変だった」と近くに住む遠藤直行さん(84)は言う。当時、周辺の酪農家はみな馬を飼っており、エキストラとして参加した人も多かった。収入
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