2月のある午後、社会館のホール。残留孤児の母親と30年前に中国から渡ってきたという女性(72)は、利用者たちとゲームを楽しみながら「ここは食事がおいしいし、みんな優しい」と笑顔で語った。残留孤児とその家族の中国帰国者は、利用者60人中15人ほどいる。 この女性は、中国語で会話していた時、他の利用者から「中国へ帰れ」と言われたことがある。心が凍り付いたが「職員が真剣に怒ってくれて助かった」と振り返る。 ▽花札は「失対」の名残 別の女性たちは花札に熱中していた。戦後の貧しい時期、地域の人たちは就職先が少なく行政の失業対策事業(失対)で働く人が多かった。失対では、息抜きのため昼休みに花札を楽しんだという。その頃の名残だ。 記者が女性たちに話し掛けると、札を混ぜながら次々に施設自慢が出た。「昼ご飯がおいしい。特にみそ汁が絶品」「職員が優しい」「いろんな人がおって面白いよ。中国の人も多い。言葉が分か