バートンお得意のゴシック調のおどろおどろしいOPから一転、”フロリダ”というクレジットとともに、太陽が燦々と照りつけるビーチが牧歌的に映し出されるのには思わず笑ってしまう。主人公ジェイクが働くドラッグストアでのクラスメイトとの一連のやりとりを見るに、ティーンエイジャーの葛藤を描いた学園ドラマが展開されていくような予感に満ちているが、すぐさま画面はダークな質感を取り戻す。曇り夜空の下に現れる、どこか見覚えのある住宅風景に、ここでいう”フロリダ”というのは、つまりはあの『シザーハンズ』(1990)の舞台であるということに気づく。ハサミ男エドワードの孤独が、周りの同年代のこどもたちとうまく関係を築くことができないジェイクに重ねられる。であるから、今作もやはり”歪さ”を、”奇妙さ”を、”変わり者”を、優しく肯定する物語だ。その完成度はティム・バートンのキャリアにおいても、最高ランクに位置するのでは
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