いま社会科学と自然科学を横断して、大きな変化が起こっている。聖書に始まり、ルソーやマルクスやレヴィ=ストロースに至るまで偉大な思想家が信じてきた「人類は太古には平和で平等だった」という神話が否定されつつあるのだ。 今までにも紹介してきたように、これはNorth-Wallis-Weingast、Leblanc、Gat、Rosenthal-Wong、Fukuyama、Wilsonなどが一致して指摘する事実であり、その影響は生物学から政治学に至るまで幅広い。本書は、これを世界でもっとも有名な心理学者が実証データで詳細に分析したものだ。 40年前に人類学者が発見し、20年前に考古学者が提唱した「国家が戦争を生んだのではなく、その逆だ」という仮説は、本書で検証されたといってもいいだろう。この図は見にくい(クリックで拡大)が、最上段が先史時代の戦争による死亡率で、人口の最大60%にのぼる。最下段が現代
![人類はずっと戦争を続けてきた](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/27c903507d122504ce892a4d9a9c7308e8fb4d31/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fagora-web.jp%2Fcms%2Fwp-content%2Fuploads%2F2016%2F02%2F51cqEl-LhDL._SL160_.jpg)