「黒須成形技術展示会」 この物語の主人公である鈴木孝は総合電気メーカー「霜月電機」の入社3年目のエンジニアである。鈴木が担当しているデジタルカメラやデジタルビデオは新製品開発のスパンが極めて短い。デジタルカメラの新機種開発,量産立ち上げをしたばかりだと思っていたのに,2年先の新製品開発のキックオフが数日後に迫っていた。 まだ詳細は分かっていないが,ハイエンド機種で他社同等の機能を持ちながら,6万円を切る売価を目指すという噂もささやかれている。鈴木の事業部にとって最重要な製品開発の一つであることは間違いない。今までと比べてコストはほぼ半減しなければ収益が確保できないはずで,つまり現状の延長ではとてもコスト目標は達成できない。鈴木は,樹脂成形か何かで,コスト削減に大きく貢献するような新技術を探さなければ,と考えていた。 そんな時に目についたのが「黒須成形技術展示会」のポスターだった。技術展示会
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