Text by 塩谷舞(@ciotan) 「昔はタクシーチケットってのがあってね」 「バブルの頃は、湯水のように広告予算が使えたからね」 「あの頃は本当に、いい時代だったよ」 だなんて「景気の良かったあの頃」の話を、広告業界の先輩方から何度聞いたことだろうか。お酒の場ともなると、そんな話で持ちきりになる。 その度に、私たちはこう返事をする。 「いやぁ、ちょっと信じられないですね……我々は生まれてこのかた、ずっと不況なので……」 1990年、バブル崩壊。私たちは、バブルの崩壊とともに生まれた。とはいえ、自分の生まれた時代をそんなに悲観することもない。だって知らないんだから、景気の良い日本を。 1988年、昭和63年に生まれた「ギリギリ昭和」の私は、小学2年生のとき、それまで第2土曜日だけ休みだった土曜日が、第4土曜日も休みになった。そう、ゆとり教育だ。 「うわぁい、やすみがふえた〜」と手放し