Europeanaの動向:「欧州アイデンティティ」および「創造性」の観点から 京都大学人間・環境学研究科修士課程修了:古山俊介(ふるやま しゅんすけ) 1. はじめに 図書館、ミュージアム、アーカイブズといった公的文化機関のもつ資料を電子化し、それを電子的に公開する試みは現在、それら異種の機関が協働して電子化資料を一括提供しようとする大規模な「文化遺産ポータル」へと駒を進めている。なかでも欧州連合(European Union、以下EU)は、国家の境界をこえた大規模ポータルの構築においていち早くスタートを切り、現時点でかなりの成功をおさめている。本稿は、EUにおける代表的な文化遺産ポータル“Europeana”について、その動向を概観する。 2. Europeanaのサービスと運営 Europeana(1)は欧州の図書館、ミュージアム、アーカイブズおよび視聴覚アーカイブズの保有する電子