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ある教科書会社から小学校の教科書のために何か書いて欲しいと頼まれた。 めんどくさいから厭だと最初は断った。 「中学生にもわかるように書く」ということは『先生はえらい』でやってみたので、できそうな気もするが、「小学生にもわかるように書く」というのはちょっと私には無理そうに思えたからである。 私は一度書いた原稿に「ここがわかりにくいので書き換えてくれ」とか「この字は読みなれていないので、ひらがなにしてくれ」とか言われるのが嫌いである。 だから、「そのままの原稿では出せません」と言われると、「あ、そうですか」とそのままオサラバすることにしている。 私の文章を読んで「意味がわかりません」という人間と「私の文章」を介して話し合いをすることは、論理的に考えて、純粋な消耗だからである。 今回は、「私の書くものは小学生向きじゃないですよ」といったのに、でもぜひにと頼まれたので、なるべくむずかしい漢字や子ど
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