"自己啓発本"はあなたに幻想を見せる 高校生のとき、僕は自己啓発本が好きだった。日頃ビジネスなどしない。「〇〇倍成果を出すための読書術」とか「人生変えよう」みたいなよくある自己啓発本。それを駅前の本屋で買ってきては、何冊も読んでいた。 お察しのとおり、僕はただ本を消費していた。投資ではなく、消費だった。自己啓発本を読み、その場限りの優越感に浸っていた。その結果どうなったかというと、口ばかり達者で行動するのが怖い人間になっていった。 自己啓発とは麻薬のようなものだと思う。読後は成功した気になり、ハイになる。何かを成し遂げた気になる。でも、本当の自分は本を読む前と、何一つ変わらない。少しばかりの優越感は、副作用として自信を奪っていった。 つまるところ、自己啓発本は消費だった。憧れを抱いていた僕を優しくなだめ、ときには叱咤し、ハッピーエンドに導いてくれた自己啓発本。彼らは僕を思うようには変えてく