暑さをしのぐ方法。それはクーラーで部屋を冷やす、あるいは扇風機に当たる。それしかない、と思っていたら、服の中に「風を送って体温を下げる」というコペルニクス的発想を実現した人がいる。市ヶ谷弘司氏(60歳)。株式会社「空調服」(本社、埼玉県戸田市)の社長だ。 開発のきっかけは? 「自分が暑がりなんです」と苦笑い。かつてソニーの技術者。43歳で独立。1年間かけてブラウン管の品質管理用特殊測定器を開発した。一時は事業も絶好調。しかし、バブルも弾け国内ブラウン管生産も東南アジアなどに海外シフト。「ブラウン管もやがてなくなる‥‥」。約10年前から新ビジネスを模索し始めた。新型コンピューターも開発したが大手にかなうわけがない。「身の丈にあった何かできないか?」。 測定器の仕事でマレーシア、タイ、中国南部などに何度も足を運んでいた。日本の不景気に反して、これらの国々は建設ラッシュ。行くたびに高層ビルが