前回は、TOTOが開発したトイレの擬音装置「音姫」を題材に、日本的な感性の繊細さと、それをものづくりに生かす日本の製造業の強みについて考察しました(前回の記事はこちら) 。 トイレで用を足す音のような「ちょっとした恥ずかしさを隠したい」という欲求は、人間にとってとても高次な贅沢。そうした欲求を「そこまでやるか」というこだわりで商品に昇華させる技は、日本のお家芸という話でした。擬音装置に限らず、温水洗浄機能や、暖房便座、自動でふたが開く機能など、日本のトイレは世界でも類を見ない高機能化が進んでいます。 それでは、なぜ日本のトイレ業界はそうした高次のものづくりに踏み込むことができたのでしょうか。それを解き明かすため、今回も、引き続きトイレの話題におつき合いいただければと思います。ヒントは、前回も登場していただいたTOTOの技術主幹、林良祐さんが教えてくれました。林さんによれば、「トイレの個室は