私は最近、原稿用紙450枚の書き下ろしを書き上げた。所要期間は2週間。計算すると一日約30枚の執筆ということになるが、一日60枚書くこともあれば、20枚を切ることもあった。 その2週間は、執筆に集中するために日程を可能な限り空けた。ただひたすらに寝ても起きても原稿のことだけを考えて生きられるよう自分なりに工夫した。いかに、自分のやり遂げたい仕事に集中するかを極めていくと、私はいくつかの発見をした。ここでぜひご報告したい。 まず最初に痛感したのは、たかだか2週間を、人の付き合いや雑務などを避けて、1つの仕事に集中することが無理である、ということ。その間、仕事は断われても、お世話になった方の「還暦祝いパーティ」とか、「個展初日パーティ」とか、「今日という記念の食事会」とかがある。実は、仕事より人の付き合いは格段に断われないということを体験した。仕事は「また今度」があっても、記念日は生涯その日だ