経営不振から歯科医療が活力を失っている。このままでは医療の質が低下し、患者にとっても不利益になる。どうしたら元気になるのか。歯科医に医院(診療所)経営のノウハウをアドバイスしている専門家は「予防治療を確立するとともに、専門分野を増やすことが必要だ」と訴える。その著書では実際の廃業事例を挙げ、リスク管理の重要性を指摘している。こうした姿勢は歯科医療だけでなく、われわれの日常の社会生活の中でも役に立つ。(論説委員 木村良一) この専門家は、歯科医院経営コンサルタントの堀尾芳裕さん(53)。歯科医院を運営したり、ISO(国際標準化機構)と呼ばれる商品、サービス、医療などの品質管理審査に携わったりしてきた。 堀尾さんは「歯が丈夫だとモノが食べられ、体は健康でいられる。それなのに歯科の治療は歯を削って詰め、神経を採ってまた削って詰める。最後には患者の歯はなくなり、入れ歯になってしまう」と説明する。