このクルマが街を走り始めると、「おやっ」と通行人の眼をひくことになろう。「小さい」のである。全長は、軽自動車規格より約40センチ短い2.985メートル。しかし、大人3人と子供(または荷物)が乗ることができる。 タイヤを極限まで四隅に配置し、前の車軸から車体の先端部および後ろの車軸から後端部までの長さである「オーバーハング」を切り詰め、4人乗りのパッケージを実現した。フロントオーバーハングは、エンジンとミッションの位置を逆転させることで短くした。 横から見ると、ミッションはエンジンより後部に配置されるのが普通だが、iQはミッションを小さくする設計で、逆にしている。筆者の記憶では量産FF(前部エンジン前輪駆動)車で前例がないことだ。 車室内のシート配置も変わっている。助手席側の後部シートにも大人が乗れるよう、助手席の位置は運転席側よりやや前に置かれている。副社長時代に開発を指揮した岡本一雄副会