「自分の欲しいモノを作る」といえば、常套句にすら感じられます。まず、外からの「公」なノイズを排して、消費者としての自分が買いたいものは何なのかをひたすら見つめること。その「私」を商品の中に練り込んでいくこと。言葉にするとなんと簡単そうなんでしょう。しかし、実は「公」は自らが「私」と思っている中にも食い込んでいるのです。商売のネタとしても大事な「私」をどう取り戻すか、これはとても難しいテーマです。分かった振りをしていた編集子も、やってみたらこれが… 糸井 この間、ちょっと調べたんですが、手帳の市場規模ってものすごく大きいんですよね(※)。その中で、うちはカミキリムシが紙をくちゅくちゅっとやった程度の売り上げなんですよ。もう笑っちゃうぐらい。 ※注 手帳の市場規模は9000万冊。企業が配っているものもあるので、市販は2500万冊ぐらい ―― すさまじいサイズですね。 糸井 で、うちが去年でたっ