前回のエントリーでは、震災によって経済の供給面が大きな打撃を受けたときには、必ずしも需要の収縮がそれにともなって生じるわけではなく、経済は次第に回復に向かう傾向があることを阪神・淡路大震災前後の経済指標によって確認した。ただし、震災からの復興には当然のことながら多大なコストを要する。今回は、復興支援のための政府の財源をどのように調達すべきなのか、最近ネットでみかけた提言を2つとりあげて検討してみることにしたい。 矢野浩一『震災復興における所得移転と通貨発行益の活用:あるニューケインジアンからの提案』 この論文では、(1)流動性制約下の家計を考慮に入れたニューケインジアンモデルと、(2)通貨発行益を考慮に入れたニューケインジアンモデルの2つのモデルによって、復興支援のための財源をどのように調達すべきかを検討している。具体的には、赤字国債の増発と増税にはそれぞれ弊害があることを踏まえ、所得移転