振り返れば、2019年は仮面ライダーシリーズにとって怒涛の一年であった。 元はファンの俗称に過ぎなかった「平成ライダー」というラベリングが、いつの間にか公式に取り込まれ、はや幾年。その元号の最後に登場したのは、タイムトラベルを重ねて歴代のライダーと邂逅する、『仮面ライダージオウ』という骨太な物語であった。10年前の『仮面ライダーディケイド』とは異なり、積極的にオリジナルキャストを登場させ、その度にSNSを中心にネットを広く沸かせていく。より今風なアプローチが込められた、そんなTV番組として駆け抜けていった。 期せずして「平成ライダー」という呼称を取り込んだからこそ、「令和ライダー」の始まりを意識せずにはいられない。四方八方から「新たな始まり」を求められたであろう『仮面ライダーゼロワン』は、AIやシンギュラリティといったテーマを扱いながら、「新しさ」の形成に挑む。その物語の重要ポイントに位置