「出世は、ゴマスリと数字と信頼感で決まる」という刺激的な言葉から始まる本書は、日本の人事制度の特徴を多くの企業事例をもとに描写した本である。90年代に欧米から成果主義が紹介され、大手企業の中で富士通が先陣を切って成果主義を導入した。その後多くの企業に成果主義が広まったものの、さまざまな弊害が指摘されるにつれて成果主義は軌道修正を強いられ、現在に至っている。 現在の日本の人事制度の特徴を、著者は次のように述べている。 「日本の企業社会に、成果主義が導入されてから、もう10年以上が経過する。しかし、一つだけ従前と、あまり変わっていない人事システムがある。それは昇進昇格に関する人事システムだ。 …『成果を上げること(結果を出すこと)』は、成果主義運用により昇進昇格をする要件に入った。が、成果がすべてでもないし、絶対でもない。長期雇用を前提にしながら、”人間”的な側面から人を登用している。」 この