スピーカーを薄くする。この実現不可能と思われていた難題を解決したのが、ボイスコイルの水平方向の動きを垂直方向に変える「HVT(Horizontal-Vertical Transforming)方式」です。水平の動きを垂直方向の動きに変換させるリンク機構を用いることで、駆動部(ボイスコイル・磁気回路)を横に逃がして設置することが可能に。これによって、一般的なスピーカーと同じ振幅と音質を確保したまま大幅な薄型化を実現できたのです。 「HVT方式」の開発は「スピーカーをもっと薄くできれば、スペースの限られたクルマでも自由に取付けられる」という、スピーカー作りに対する技術者の開拓者精神から始まりました。しかしスピーカーは元来、大きな振動を生み出すために奥行きのある構造を持ち、薄さと高音質を両立するのは技術的にも困難とされていました。