新聞記事で紹介される「風評被害」の数々。震災前から抱えていた構造的な問題に切り込むものは少ない。 いわきで「食」や「観光」に関する取り組みをしていると、ことあるごとに「原発事故さえなければ」という言葉を耳にします。「原発事故さえなければ、風評被害も起きなかったし、売上が下がることもなかった」とか、「風評被害さえなければ、もっと観光客が来ていたのに」とか。 しかし、売上の減少や、観光客の伸び悩みを原発事故のせいにしても、根本的な解決にはならない。「東電は責任を果たせ!」と叫んでも、観光客は戻ってこないし、魅力的な商品も生まれないからです。苦境の理由を、「原発事故」や「風評被害」から引き離して求めていくこと。それカギだと私は考えています。 私の勤めるかまぼこ業界を例にとれば、風評被害の出発点は「産地の切替」です。放射能汚染云々の前に、地震や津波で操業停止に追い込まれた福島県産品の在庫切れをカ