早稲田大学イスラーム地域研究機構招聘研究員 鈴木恵美 エジプトでは5月末に大統領選挙が実施され、昨年7月の事実上のクーデターでイスラーム組織「ムスリム同胞団」出身のモルシ大統領を失脚させたシシ元帥が、96.9%という圧倒的な得票率で選出され、大統領に就任しました。空軍出身のムバーラク大統領に辞任を求めた、いわゆる「アラブの春」から3年4ヶ月、軍出身のシシ元帥が圧倒的多数の票を得た今回の大統領選挙の意味と、シシ新大統領による政権運営を展望してみたいと思います。 2011年1月、汚職で腐敗したムバーラク政権に対する大規模デモが起き、ムバーラク大統領が辞任しました。その後、ムバーラクを辞任へ誘導した軍部が管理するなかで民主化が進められ、ムスリム同胞団出身のモルシが大統領に当選しました。しかしその1年後、反モルシデモが大規模化し、事態が膠着すると、当時国防大臣で軍総司令官だったシシ元帥が、国民の支