中国の詩人の理想像は、科挙に及第して国家枢要の人物に栄進し、その傍ら詩を以て政治を論じ、花鳥風月を詠じ、また人生を究明せんとすることにあった。彼らは詩のために詩を書くことを潔しとしなかったのである。そんな詩人としての理想像を極めたものは極めて少ないとせねばならぬが、その数少ないうちの一人として、蘇軾をあげることに、誰も異存はないであろう。 蘇軾はは単なる詩人であることに満足せず、士大夫として深く政治にかかわらんと欲した。そしてその志を詩の中に表現せんと欲した。だからといって、彼の詩は決して観念の産物にとどまってはいない。政治を詠じても、風流を詠じても、蘇軾の詩は人間の血潮が熱くたぎっていることを感じさせる。その血潮の熱さが、蘇軾をして、挫折の多い人生を、陰影豊かなものにせしめた、そういえるのではないかと、筆者は感じている。 筆者の漢詩シリーズのうち、このシリーズでは、蘇軾という詩人を通して
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