その後の経緯については広く知られるとおりであるが、この事件の背景を見ると果たして偶発的な事件であったのか、はなはだ疑問である。 また、この度の事件を通じて中国が改めて尖閣諸島を領土問題化し、このことを国際社会に印象づけた事実も免れ得ない。 我が国は、今後の対応として国際社会に対して我が国の正当なる主張を訴え続け、関係国と協調して海の秩序維持に努めなければならないことは言うまでもない。
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日本大使に対する非礼な深夜の呼び出し、官製と思われるデモ、閣僚級交流停止、ガス田開発交渉延期、スポーツや旅行など民間交流停止、レアアースの輸出停止、挙句の果てには日本のゼネコン社員を軍事施設撮影容疑で拘束するに至った。 日本政府は当初、法的手続きに従い粛々と対応するとしていたが、ここに至って脅しに屈し、腰砕けの格好だ。まさにマージャンでいう「ベタ下り」である。 那覇地検が総合的に判断し船長釈放を決定したのであって、政府はこの決定を了としただけだと、政府はメンツを保つために責任回避に躍起であるが、誰も信じていない。政府の狼狽ぶりは見苦しい限りである。 中国は日本の決定に対し、これまでの日本の「司法プロセスは、すべて違法で無効だ」とし、謝罪と賠償を要求するとさらに追い打ちをかけている。 強硬措置で脅せば日本は原則を曲げてでも必ず下りるとの確信を中国に与えてしまったことは、今後の日中外交に大きな
尖閣諸島を中国の領土だと主張してやまない中国側は、外務大臣のみならず、12日午前零時、外交担当の国務委員(副総理級)が、就任間もない丹羽宇一郎駐中国大使を外交部に呼び出し、猛烈に抗議した。 その際に使用した「情勢を見誤らないように」という言い回しは、ここ数年現場で中国をウォッチしてきた筆者からすれば、極めて政治的な意図を含んだシグナルに聞こえる。 「一歩間違えれば、政治関係の安定という大局に悪影響を与えますよ」という警告だ。 中国政府系シンクタンクに所属する国際政治専門家は指摘する。 「事件後の日中関係は、小泉純一郎前首相が退任して以来最悪の事態に直面している。両国が適切に対処できなければ、当時のように、首脳外交が停止され、政治的摩擦に発展する可能性も否定できない。軍事的衝突はなかなか考えづらいが」 中国に戻ると、反日世論に火がついていた 9月10日、東京から拠点とする北京に戻った私は、中
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