07年、ファッション関係の新刊書は著名デザイナーの評伝が目についた。いずれも内外のファッションをリードした人物。その一方、ブランドをテーマにした本も。デザイナーとともにブランドがファッションを動かす。その現状の反映のようだ。 『ジョルジオ・アルマーニ』(レナータ・モルホ著、日本経済新聞出版社)は初の本格的評伝。医学生から兵役をへて百貨店に転じた青年が、世界有数のブランド帝国を築くまでを描く。男女の性差を融合させた流麗なスタイルは、すべてを細部まで自ら確認する「究極の完璧(かんぺき)主義」によって生み出されたという。 『ピエール・カルダン』(シルバナ・ロレンツ著、駿河台出版社)は、イタリア移民の少年がパリのモード界に駆け上がった軌跡を追う。宇宙服のような作品を発表し、ライセンスビジネスも積極的に展開。中国にもいち早く進出した。高級レストランの経営を手がけ、芸術のパトロンでもあった。奔放な活動