ウォーホルの芸術―20世紀を映した鏡 [著]宮下規久朗[掲載]週刊朝日2010年6月4日増大号[評者]青木るえか■ここまで怖いウォーホル本はない 読みすすむうちに気分が重くなってきて、読み終わったらすっかり暗くなってしまった。それはこの本がよくない本ということではなくて、いい本だからそういう読後感になるのだと思う。 アンディ・ウォーホルの作品について論じた本だが、あまり論じているという感じではなく「こういう作品はこういうモチーフでこういう時代背景でこういうふうに世の中に出てきた」という事実を詳細にたんたんと書いてある。そのたんたんとした事実の積み重ねが、なんだか異様に重苦しくどんよりした読後感を呼ぶ。ウォーホルの作品には死の匂いがする、なんて話を聞いたことがあり、その時は「何をかっこつけたようなことを」と思ったもんだが、ここでたんたんと突きつけられた作品を次から次へと見ていくと「アンディ・