「うわさは本当だったのか。太平洋で命がけで取ってきた魚を奪うとは許せない」。被害に遭った水産会社の関係者は声を荒らげた。社内では、焼津港の水揚げが鹿児島の港と比べて少なくなることが不思議がられていたという。「漁協を信頼していたのに裏切られた。同業他社もやられているのでは」と疑いの目を向けた。 ある漁協関係者は「30年前からうわさはあった」と証言する。県警は、事件後に複数の水産会社から被害の相談を受けており、メンバーを替えながら窃盗が繰り返されていたとの見方を強めている。捜査関係者は「バカを見ていたのは水産会社だけで、漁協関係者と水産加工会社が甘い蜜を吸っていた。パンドラの箱が開いた」と語った。 一部計量せず? 県警は10月7日、水産加工会社元役員(47)、運送会社員(47)、同社員(43)の3容疑者を窃盗容疑で逮捕した。共犯として漁協職員(40)を逮捕したほか、27日には水産加工会社元社長