小説家になってからの13年が、 社会人としての12年半よりも、 ずいぶん短く感じた、ということについて、 もうすこし、うかがいたいんですけど。 「職業としての小説家」について、 保坂さんがいま思っていることは何ですか。 よく言われているように、 ぼくも、いまの文学の世界には 有能な人材が来ないと感じているし 才能の多様性にも欠けていると思っています。 いまはわからないけど、 一時期のゲーム業界とか音楽業界とか、 その時々のいいところに流れるじゃない。 若い人は当然そうで、まだ自分の嗜好だとか、 これで一生いくんだなんて わからない状態で決めるのが 人生ってものだから、10代とか20代で おもしろそうな世界に見えたら、 そこに行きますよ。 文学って、マイナスの宣伝が 強すぎるじゃない。 でもそれは、ウソですよ。 お金で言えば、小説って、ちゃんと書けば、 原稿料で入って単行本で入って、 それか