中規模の開発会社が受注したソシャゲの開発プロジェクト、予算は数億円。 言うことがころころ変わるクライアント、仕事をしないディレクター、白紙の仕様書。 スケジュールは超過して大赤字、次々といなくなるスタッフ。 三代目のリーダーに俺が指名されたとき、社内の視線は冷ややかを通り越して憐れみに満ちていた―― 若手チームを率いて大炎上プロジェクトを立て直した話をします。 炎上する原因、大きなプロジェクトをスムーズに進める工夫、汗と涙と徹夜、そしてExcel方眼紙。 この物語はフィクションです!
「田中はやめたほうがいいです」 編集のO田川氏は開口一番にそう言った。都内某所の喫茶店で「魔法少女探偵アガサちゃん」の次話ネームを見せていた時だった。 「月刊少年ボウイ」のO田川氏はもう5年も僕の漫画を担当していて、それなりの信頼関係ができている。社交辞令的な褒め言葉は省いて単刀直入に打ち合わせを進めよう、というのが暗黙の了解だ。最近はネームを見せる前からO田川氏が不満を言いそうな点が予想できてしまうので、何を言われても大したダメージはない。だが、今回は一瞬コメントの意味がわからなかった。 「は? 田中?」 「この容疑者の女性、ホラ、田中久美恵さんって書いてるですか。名前、変えたほうがいいです」 「……ああ、それですね」 「魔法少女探偵アガサちゃん」は、コミカルな女子中学生が魔法で事件を解決するミステリ漫画。今回は温泉回だ。露天風呂で宿泊客の遺体が発見され、警察は火山ガスによる事故だと判断
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く