クリープハイプに、東京キネマ倶楽部はよく似合う。ステージの左サイドに設置された“飾り階段”や、ステージ背後のカーテンのドレープは、クリープハイプのドラマ性に満ちた楽曲のイメージを無理なく広げてくれる。 4人のメンバーがぞろっと出て来ると、「キャー」という歓声とざわざわしたどよめきが起こる。フロントのメンバー3人がドラムの前に集まって何か確認した後、それぞれの位置に付くと、尾崎世界観がひとりでギターを掻き鳴らしながら♪嫌い 嫌い♪と歌い出す。「あの嫌いのうた」は、クリープハイプのライブの幕開けを告げるのにふさわしい歌だ。世界に邪魔され、うまくいかないことに噛みつく、愛に飢えたクリープハイプの挨拶の言葉は、「嫌い」なのだ。 その昔、孤高の天才アーティスト・プリンスの口癖は「I hate you!」だった。プリンスはいつもこの言葉を、ステージから観客に吐いていた。尾崎はプリンスほどナルシストでは