日本人の実に8割が罹患しているという歯周病。実は、多くの病の引き金になる恐ろしい疾患なのだ。この病のメカニズムと最新治療に迫る。 日本人の8割がかかっている病気 「もう少し来るのが遅かったら、歯が全部なくなってましたよ!」と担当医から厳しい指摘を受けたのは、会社員のAさん(43歳)。病名は「歯周病」だ。 歯周病とは、かつて「リンゴをかじると血が出ませんか?」のフレーズで知られた歯槽膿漏のこと。今は医学的に正しい疾患名である歯周病と呼ばれるのが普通である。 この病が厄介な点は、かなり進行しないと痛みや腫れなどの自覚症状が現れないこと。サイレント・ディジーズ(沈黙の病気)と呼ばれる由縁である。Aさんも高校時代、すでに校医に歯周病を疑われる症状を指摘されていた。しかしこれといった自覚症状がなかったため、本人も親も深刻に受け止めず、壮年になるまで放置しておき、結果、重症化させてしまったのだ。 現在