演目は「無精歯科」「饅頭とか怖い」「百川・改」「短命」。最近の独演会では「らくだ」や「居残り佐平次」など凄みのある噺が続いて、落語ヘビーユーザーが帰りしな「あれだネ。今日の談笑は「芝浜」に新しいスポットを当てたよネ」と喜ぶ個人的にどうでもいい光景が繰り広げられていたのが一転、世間からは評価されそうもない改作が並んでとても嬉しい。 「短命」は短くまとめると、「ソソる女と結婚した旦那がやりすぎてすぐ死んでしまう」体験が身近に起き男が自分の不細工な女房を見て「オレは長命だな」と呟く噺。聞くたびに「こんな内容で20分も? なんてしょうもない噺なんだ!」と思える2時間ドラマ化したいほどのハートウォーミングストーリーなのだが、談笑版は不細工な女房を押し倒して「オレも短命だ」で昇天。「短命」が何百年も語り継がれたのは、このオチが語られるための壮大な前フリだった気がしてならない。