繊細な魂が、世界に手を伸ばす瞬間――糸奇はなの音楽を聴くと、そんな、痛みに満ちて、でも愛おしい瞬間に立ち会っているような感覚を覚える。 幼い頃から本格的に声楽を学び、DTMを使ってオリジナル楽曲を生み出すシンガーソングライター、糸奇はな。ゲーム音楽をアレンジして動画サイトに投稿するところからキャリアを始め、楽曲制作から演奏、打ち込み、歌唱まですべて自分でこなし、イラストや漫画の執筆、刺繍や版画、果てはウェブ制作まで「創造」と名のつくあらゆるものに手を伸ばす。彼女の創造物の奥には、どうしようもなく世界を必要とし、世界に必要とされようとする自身の「実存」と「意志」を感じることができる。その表現の一つひとつには、彼女の震えるような息づかいが、とても生々しく刻まれている。 「ものを作る」ということは、決して何かを表明したり、象徴することではない。それはいつだって世界への問いかけであり、不安定さや曖
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