障害者施設内の事故で亡くなった知的障害のある少年が、「将来得られる利益はゼロ」と算定されたのは「命の差別」だとして遺族が訴えた裁判の記録が本になった。逸失利益約七百七十万円を賠償金に盛り込むことで成立した和解から四年余り。「障害者の命の価値を巡る状況は、残念だが今も変わっていない」と、家族と担当弁護士は訴える。 本のタイトルは「晃平くん『いのちの差別』裁判」(風媒社)。執筆者の一人で、裁判を担当した岩月浩二弁護士は「お金を稼げるかどうかで命が判断される。そんな差別が公然と行われていることを、記録として残す意味がある」と話す。